交通事故

【枚方】通勤中・仕事中の交通事故は、労災?それとも自賠責?

大黒整骨院(院長:大黒 充晴/柔道整復師・臨床23年)

会社に、迷惑ですか?
交通事故

「これ、労災になるんでしょうか」。

会社へ向かう途中、交差点で追突された。

体はなんとか動く。相手も保険に入っているらしい。会社には、とりあえず遅れると連絡した。

そのあと、頭をよぎるのはこれです。

「労災って、使っていいのかな。会社に迷惑がかかるんじゃないか」

先に、いちばん大事なことを書きます。

通勤中の事故で労災を使っても、会社の労災保険料は上がりません。 これは厚生労働省の資料に、はっきり書かれていることです。

そして労災と自賠責は、どちらか一方しか使えないのではありません。両方使えます。 どちらを先に使うかも、あなたが選べます

知らないまま自賠責だけで進めて、あとから「労災を使っておけばよかった」となる方が、少なくありません。

まず、答えを表にします。

疑問答え
通勤中の事故は労災になる?なります(通勤災害)
仕事中の事故は?なります(業務災害)
労災と自賠責、両方使える?使えます(第三者行為災害として調整されます)
どちらを先に使う?被災者が自由に選べます(厚労省の資料に明記)
慰謝料は労災から出る?出ません(自賠責・相手の保険から)
会社に迷惑がかかる?通勤災害なら保険料に影響しません
健康保険を使えばいい?使えません(通勤中・業務中のけがは対象外)

「通勤中」とは、どこまでを言うのか。

労災保険法の第7条は、通勤を「合理的な経路および方法」による移動と定めています。

いつもの道を、いつもの手段で行き来している間の事故なら、通勤災害です。

寄り道をしたら、どうなるのか

ここが、多くの方が気にされるところです。

経路をはずれたり(逸脱)、途中で用事をしたり(中断)すると、その間は通勤ではなくなります

ただし、例外があります。日常生活に必要な行為を、やむを得ず最小限の範囲で行う場合です。労災保険法の施行規則には、こう挙げられています。

  • 日用品の買い物(スーパーで夕食の材料を買う、など)
  • 職業訓練・学校教育
  • 選挙権の行使
  • 病院・診療所での診察や治療
  • 家族の介護(継続的・反復的に行っているもの)

これらの用事を済ませて元の経路に戻れば、そこから先はふたたび通勤として扱われます。

つまり「寄り道している最中」だけが対象外で、戻ればまた通勤に復帰するということです。

ちなみに、介護の要件は2017年1月から緩和され、「同居・扶養していること」という条件がなくなりました。古い解説が今もネット上に残っているので、注意してください。

「仕事中」の事故も、労災です。

営業で外を回っている。荷物を届けに行く。出張で移動している。

厚生労働省の資料は、「出張や社用での外出等により事業場施設外で業務に従事している場合」は事業主の支配下にあり、一般に業務災害と認められるとしています。

会社の外にいるから労災にならない、ということはありません。

最大の誤解——「会社に迷惑がかかる」。

このセクションだけでも読んでいただきたいところです。

会社の労災保険料は、その会社の労災の使用状況に応じて上下することがあります(メリット制といいます)。

だから「自分が労災を使うと、会社の保険料が上がってしまう」と考える方が多いのです。

しかし、厚生労働省の資料には、こう書かれています。

メリット制の計算に含めるのは「業務災害に係る保険給付および特別支給金」であり、「通勤災害…に対する保険給付を含めない」。

つまり——

通勤中の事故で労災を使っても、会社の労災保険料には、いっさい影響しません。

業務中の事故は計算に含まれます。ただし、メリット制が適用されるのは、常時100人以上(または一定の条件を満たす20人以上)の事業場に限られます。多くの中小企業では、制度そのものが適用されません。

「会社が労災を認めてくれない」も、誤解です

労災を認めるかどうかを決めるのは、会社ではありません。労働基準監督署です。

厚生労働省のQ&Aには、こう書かれています。

労働者本人が労働基準監督署に労災保険給付の請求を行う。労災として認められるかどうかは事業主が決めるわけではありません。

事業主の証明が得られない場合でも、労働者本人が請求できます

「健康保険で済ませる」は、できません

通勤中・業務中のけがに、健康保険は使えません。法律で定められています。

誤って健康保険を使ってしまうと、あとから7割相当分の返還を求められます。使ってしまった場合は、労災へ切り替える手続きが必要です。

労災と自賠責、何が違うのか。

労災保険自賠責保険
自分の過失で減額されるか減額されない(故意・重大な過失は除く)過失が7割以上になると減額される
治療費の窓口負担なし(※通勤災害は初回の休業給付から200円が控除されます)なし(枠内であれば)
休業したときの補償給付基礎日額の80%(休業給付60%+特別支給金20%)。4日目から原則100%(日額は原則6,100円、立証で上限19,000円)
慰謝料ありませんあります(傷害分は1日4,300円)
金額の上限治療費に上限なし傷害分は120万円まで(治療費・休業・慰謝料の合計)
請求の時効療養・休業=2年/障害=5年3年

この表から読み取れること

自賠責は「慰謝料が出る」「休業は原則100%」という強みがあります。 だから多くの場合、自賠責を先に使います。

一方、労災が効いてくるのは、次のような場面です。

  1. 自分の過失が大きい事故——労災は過失で減額されません
  2. 相手が任意保険に入っていない/ひき逃げ——加害者の保険と無関係に給付されます
  3. 治療が長引き、120万円の枠を超えそうなとき——労災の治療費に上限はありません

「二重取り」はできない。でも、別枠で受け取れるものがある。

労災と自賠責の両方を使っても、同じ費目を二重に受け取ることはできません

治療費と治療費、休業給付と休業損害——こうした「同一の事由」のものは調整されます。

しかし、調整されないものがあります。

  • 慰謝料(労災に慰謝料はないので、そもそも同一の事由になりません)
  • 休業特別支給金(20%の部分)
  • 車の修理費など

とくに休業特別支給金の20%は、損害の穴埋めではないという性質から、調整の対象外とされています。

ここが、労災を併用する実利のひとつです。

忘れてはいけない手続き——第三者行為災害届

相手のいる事故で労災を使うときは、「第三者行為災害届」を提出します。

  • 提出先=あなたの勤務先を管轄する労働基準監督署
  • 労災の請求書に先立って、または同時に提出します
  • 「念書(兼同意書)」「交通事故証明書」などを添えます

正当な理由なく提出しないと、労災の給付が一時差し止められることがあります。

政府は労災を支払ったあと、その分を加害者側に請求します(求償)。だから、事故の相手を届け出る必要があるのです。

事故直後の動き方全体は、交通事故から72時間の5ステップにまとめています。

整骨院で、労災は使えるのか。

制度としては使えます。

柔道整復師の施術には、労災の専用の請求様式が用意されています。

事故の種類使う様式
業務災害(仕事中)様式第7号(3)
通勤災害(通勤中)様式第16号の5(3)

施術所が労働局から「指名」を受けているかどうかで、立て替えが要るかどうかなど、手続きの流れが変わります

また、骨折・脱臼の患部への施術には、応急手当を除いて医師の同意が必要です(柔道整復師法第17条)。ねんざ・打撲は、法律上この同意は要りません。

当院での取り扱いは、事故の状況によってご案内が変わります。まずお電話でご相談ください。

自賠責を使う場合の流れや費用は、交通事故の施術費用と自賠責の記事をご覧ください。

そして、当院がいちばん伝えたいこと。

ここまで制度の話をしてきました。最後に、施術する側としての話をさせてください。

追突事故のあと、多くの方が「首が痛い」と言われます。

しかし当院は、痛い場所を原因だと考えません。

事故の衝撃は、体のどこか——多くは、もともと動きの悪かった場所——を、さらに固めます。動かなくなったその場所の仕事を、別の場所が肩代わりする。

肩代わりして働きすぎた場所が、悲鳴を上げる。それが「首の痛み」です。

つまり、痛む首は犯人ではなく、被害者のほうです。

だから当院は、首だけを診ません。胸のあたりの背骨、肋骨、股関節——動かなくなった場所を探しにいきます。

当院の施術は関節ファシア整体です。揉まない・ボキボキしない・電気や温熱に頼らない方法で、関節の1〜2mmのわずかなズレをやさしく整え、動いてもらいながら見つけた引っかかりをファシア(筋膜)リリースで緩めます。

関節を整える施術に痛みはほとんどありません。一方、硬結(こりかたまった部分)を緩める工程は、痛みを伴うことが多いです。 ここは正直にお伝えしています。効果の感じ方には個人差があります。

先に医療機関へ——受診のサイン。

事故のあと、次のような場合は、施術より先に必ず医療機関を受診してください。

  • 頭を打った/意識が飛んだ時間がある/吐き気・強い頭痛がある
  • 手足に力が入らない・しびれが広がっている
  • 息がしづらい・胸や腹が強く痛む
  • 骨折や脱臼が疑われる(変形・強い腫れ・体重をかけられない)

事故直後は、痛くないこと=無傷であること、ではありません。 数日たってから症状が出ることは、めずらしくありません。

まず整形外科で診断を受け、そのうえでご相談ください。


参考にした資料

  • 労働者災害補償保険法 第7条・第12条の4/同法施行規則 第8条・第22条
  • 厚生労働省「第三者行為災害のしおり」
  • 厚生労働省「労災保険給付の概要」「労災保険のメリット制について」
  • 厚生労働省「労災保険に関するQ&A」(請求権者・時効)
  • 厚生労働省「業務中や通勤途中のケガに、健康保険は使えません」
  • 国土交通省「自動車損害賠償責任保険の支払基準」(傷害慰謝料・減額基準)
  • 柔道整復師法 第17条

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案についての法的助言ではありません。制度の適用や手続きの詳細は、労働基準監督署・保険会社・弁護士等の専門機関にご確認ください。

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大黒整骨院 大黒 充晴

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院長/柔道整復師(国家資格) 大黒 充晴臨床23年

火・水・金・土 9:30〜12:00 / 13:30〜16:30、木曜 9:30〜12:00月曜・日曜・祝日休診)

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